暗号資産(仮想通貨)とは

近年、仮想通貨という言葉が一般的に知られるようになり、耳にする機会も多くなりました。仮想通貨の種類は世界中に1万種以上あると言われており、日本の取引所では40種類程度が扱われています。しかし、仮想通貨と電子マネーの違いなどを問われると、明確に答えることができない人も多いのではないでしようか?

そこで、この記事では仮想通貨の定義や電子マネーとの違い、代表的な種類など仮想通貨のいろはをご紹介します。

仮想通貨の定義

仮想通貨は電子データで取引される通貨です。日本では一般的に仮想通貨と呼ばれていますが、資金決済法の改正を受け、2019年5月からは法的に暗号資産という呼称への変更が決定しています。仮想通貨の呼称が禁止されたわけではありませんので、いまだに仮想通貨という言葉を耳にする機会もありますが、いずれの呼称も意味合いは同じで、世界中で使える電子通貨の総称です。公的には「暗号資産」と呼ぶことが正しいということは覚えておくと良いでしょう。

従って、この記事でもここからは暗号資産(仮想通貨)という文言でご説明していきます。

暗号資産(仮想通貨)は、資金決済に関する法律において次のように定義されています。

・代金の支払い等に使用することができ、さらに日本円や米国ドル等と相互に交換することが可能

・データとして記録され、移転できる

・日本円やドルなどの通貨、またはプリペイドカード等ではない

暗号資産(仮想通貨)の特徴

暗号資産(仮想通貨)は円やドルのような国家やその中央銀行によって発行された通貨ではないため、国の価値保証がありません。そのため、利用者の需給関係などのさまざまな要因によって、価値が大きく変動するという点が特徴のひとつです。

暗号化されたデジタル通貨なので、紙幣や貨幣のような物質としての存在がありません。電子データのやり取りだけなので、送金の早さやセキュリティの高さなどの利点が多いという点も特徴と言えます。

電子マネーとの違い

暗号資産(仮想通貨)を電子マネーと混同している人はまだまだ多い印象です。似ている部分はあるかもしれませんが、全くの別物です。違いは主に以下のような点にあります。

発行主の違い

電子マネーは日本銀行が発行する法的通貨をデジタル化したものであり、鉄道会社や大手小売が代表されるように、企業などが発行主・管理者として存在します。

一方暗号資産(仮想通貨)には、発行主や管理者が必ずしも存在しません。多くは、ユーザー同士でネットワークを管理・経営する方法が採られています。マイニングと呼ばれる複雑な計算を行いデータの追記作業を行うことで、新規に発行されています。

価値増減の有無

電子マネーは、価格の増減がほぼないといえます。日本円を使っているため、価格増減は日本円に依存します。チャージした価格が変動することは、基本的にありません。

暗号資産(仮想通貨)は、一日で大きく価格が増減する可能性があります。過去のデータを見ると、一日で約20%以上値動きすることもあります。これは、ユーザー同士の需給関係によって価格が変動するためです。

対応する法律

電子マネーは日本国が発行する円をデジタル化するため、資金決済法が適用されます。

暗号資産(仮想通貨)は、発行元が日本国ではないため仮想通貨法が適用されます。仮想通貨法は、政府が新たに定めた法律です。

利用できる場所

電子マネーは、国内の加盟店のみで利用することができます。例えば、nanacoはセブンイレブンで使うことができますが、ローソンでは使うことができません。

暗号資産(仮想通貨)は、世界中のどこでもインターネット上で利用することができます。理論的には世界中で利用可能ですが、一般的に支払い手段として利用できる体制はまだ整っていません。

ポイントが貯まるかどうか

電子マネーはポイントが貯まるものが多いですが、暗号資産(仮想通貨)はポイントが貯まりません。

発行主の違いでご説明したように、電子マネーは企業などが発行しているものであるため、サービスの一環や会員を増やす施策などでポイント付与がありますが、発行主が存在しない暗号資産(仮想通貨)ではそもそもポイントを付与する意義がないのです。

ブロックチェーンとの関係性

暗号資産(仮想通貨)とセットで「ブロックチェーン」という言葉が登場することがよくあります。暗号資産を理解するために、ブロックチェーンについて、そしてブロックチェーンと暗号資産との関係についても説明します。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、分散型のコンピュータネットワークに取引の最初から最後まで全ての順序を記録するもので、分散型台帳とも呼ばれます。

取引の記録(トランザクション)は一つの「ブロック」として構成され、トランザクションの集合であるブロックは前後につながり、チェーンのように連結されます。

ブロックチェーンのデータは、一箇所ではなく複数の分散型コンピュータネットワークすべてに保存されていきます。特定の管理者やサーバに依存しません。

P2P(ピアツーピア)という、不特定多数の端末がサーバを介さずに端末同士で直接データファイルを共有することができる通信技術、またはソフトウェアで構成されています。P2Pに参加するコンピュータは「ノード」と呼ばれています。

ブロックチェーンは、一部のデータが削除されてもほかのノードにデータが保存されているため、復旧することができるほか、データを共有するすべてのノードを破壊しなければならないため、データの改ざんなどは極めて困難と言われています。

暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーンの関係

暗号資産(仮想通貨)はブロックチェーン技術の上に成り立っています。ブロックチェーンは、暗号資産の一つであるビットコインの開発の過程で生まれました。ビットコインの全ての移動履歴はブロックチェーン上に記載されており、インターネット上に公開されています。

暗号資産(仮想通貨)の仕組み

暗号資産(仮想通貨)は、前項で説明したブロックチェーンに加えて「マイニング」と「電子署名」によって成り立っています。

マイニングとは

ブロックチェーンは、今までの取引記録を記録するための分散型台帳です。台帳に、誰かが記録をしなければなりません。取引の記録をすることを「マイニング」と呼びます。マイニングによって、その取引が正しいことが証明されます。

日本円などの法定通貨は、銀行取引の場合は銀行が承認します。しかし、仮想通貨の取引はマイニングする人である「マイナー」が正当性の検証を行います。世界中のどこかで暗号資産(仮想通貨)の取引が行われると、マイニングで取引が正しいことが証明されます。1回の取引でマイニングを行い取引が正しいことを証明できるのは、たったの一人です。最初に証明した人は、報酬をもらうことができます。マイナー達は報酬を目的にマイニングを行い、この仕組みによって仮想通貨取引は成立しているのです。

電子署名

電子署名は、デジタル文書の作成者を証明する技術のことで、暗号資産(仮想通貨)でも利用されます。

公共事業の電子入札や、電子カルテなどにも広く用いられています。

暗号資産(仮想通貨)における電子署名の使用方法を説明しましょう。

電子署名では「公開鍵」と「秘密鍵」という2つのカギが発行されます。

送金をする場合は、送金者は秘密鍵を使用し暗号資産のデータを暗号化します。

送金相手は、公開鍵を使用し暗号化された暗号資産のデータを元に戻すのです。

公開鍵は誰でも使用することが可能ですが、秘密鍵は送金者のみ使用可能なため不正送金を防止することができます。

暗号資産(仮想通貨)の種類

暗号資産(仮想通貨)の種類は1万種類以上あると言われています。中でも代表的なものを5つ紹介します。

①ビットコイン

暗号資産(仮想通貨)の代表として最初に挙げられるのは「ビットコイン」です。暗号資産(仮想通貨)イコールビットコインであると勘違いしている人がいるほど、抜群の知名度があります。

ビットコインは、サトシ・ナカモトという研究者が発表した論文の構造を元に設計されました。2009年に誕生した、世界初の暗号資産(仮想通貨)です。ブロックチェーンを使用して不正が行われないようにし、マイニングによって改ざんを不可能にしているという特徴があります。

ビットコインは金と同様に希少価値が高いため「デジタルゴールド」とも呼ばれています。まだ値動きが大きいため、今後は価格が安定し安全資産へと進化することが期待されています。

②イーサリアム

イーサリアムは、ビットコインに次いで知名度が高い暗号資産(仮想通貨)です。

イーサリアムは、「スマートコントラクト」という自動取引プログラムによって取引を自動で行うことができます。スマートコントラクトによって、第三者を介すことなく分散型のアプリケーションを実行できるという特徴があります。あらかじめプログラムされている契約の実行条件を満たせば、自動的に契約が実行されるため契約が簡素化されることも特徴の一つです。

そのため、イーサリアムは安全性が高いといえるでしょう。

③リップル

リップルも、代表的な暗号資産(仮想通貨)として挙げることができます。アメリカのリップル社が提供する「リップルネットワーク」やそのネットワーク内で使用されるものがリップルです。

暗号資産(仮想通貨)の多くは、マイニングによって新規発行されるものを受け取っていますが、リップルは既に発行枚数上限である1,000億枚に達しています。また、リップルはリップル社によって管理・運営がされています。

リップルは処理速度が速いため、世界中の金融機関との連携が進められています。そのため、今後リップルの価値が上昇する可能性が高いと言われています。更に、リップルは全て発行済みであることから、希少性低下の危険性が低いため、大幅な下落の可能性が低いと考えられています。

④ステラ・ルーメン

ステラ・ルーメンは、リップル社の元開発者であるジェンド・マケーレブ氏によって開発された暗号資産(仮想通貨)です。

リップルは銀行や送金業者などの企業を対象としていますが、ステラ・ルーメンは一般ユーザー向けに制作されました。異なる通貨同士のトレードを橋渡しし、送付にかかる時間は約5秒であることから注目を集めています。

⑤ビットコインキャッシュ

ビットコインキャッシュは、ビットコインのハードフォークから生まれた新しい暗号資産(仮想通貨)です。

ハードフォークとは、ブロックチェーンが分裂することです。ビットコインがハードフォークを繰り返すことによって、「ビットコインゴールド」「ビットコインダイヤモンド」「ビットコインシルバー」などの新しい暗号資産が誕生しています。

ビットコインキャッシュはビットコインと比較するとブロックサイズが大きいため、処理能力の高さが評価されています。ビットコインよりも大きな取引の処理が可能となっているため、今後の決済手段として期待が高くなっています。

暗号資産(仮想通貨)で何が便利

暗号資産(仮想通貨)には法定通貨と比較すると多くの利点がありますが、実際に何が便利なのか、紹介しましょう。

両替不要、送金手数料がおさえられる

法定通貨の場合、異なる通貨の送金を行う際には自国通貨と他国通貨を為替市場で両替する必要があります。暗号資産(仮想通貨)の場合、世界共通となっているので両替の必要はありません。為替レートを気にすることなく、同じ通貨単位でやりとりすることができます。

銀行を介することがないため、送金手数料を抑えることができ取引所によっては完全無料の場合もあります。

送金が早い

法定通貨は銀行振り込みで海外送金をすると、数日から1週間程度の時間がかかります。暗号資産(仮想通貨)の場合は、すぐに対応することができます。

暗号資産(仮想通貨)の種類によって、送金処理が有効になるまでに一定のタイムラグが生じますが、一般的な海外送金と比較するとかなり早いといえます。

24時間365日取引が可能

法定通貨は、金融機関や証券取引所などの営業時間外の取引をすることは難しいと言えます。暗号資産(仮想通貨)取引は、土日や時間の制限がなく24時間365日取引が可能です。

暗号資産(仮想通貨)の利用目的

暗号資産(仮想通貨)は、複数の利用方法があり目的もさまざまです。各通貨によって利用目的に違いがありますが、主な利用目的を紹介します。

対応店での決済

暗号資産(仮想通貨)は、一部の店舗やECサイトで決済が可能です。日本ではあまり多くはありませんが、家電量販店のビッグカメラや旅行会社のH.I.S.などでビットコイン決済が可能です。今後、対応店の増加が予測されています。

個人間送金

法定通貨の送金は、手数料が高く時間がかかります。暗号資産(仮想通貨)の場合は、送金手数料を抑えることができ送金スピードが速いというメリットがあり、個人間の送金を目的として利用するという人もいます。

投資

暗号資産(仮想通貨)は価格の変動があるため、投資目的で利用する人が多くみられます。1000円程度の少額からでも投資を始めることができるため、初心者でも入りやすいというメリットがあります。ただし、価格の変動が大きいため注意が必要です。

まとめ

暗号資産(仮想通貨)は、国やその中央銀行から発行された通貨ではない電子データです。中央管理者がいないため、ユーザー同士のネットワークによって管理されています。世界初の暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン」をご存知の方も多いでしょう。

両替不要、少額から投資を始められるなどの利点もありますが、ハッキングなどのリスクもあるので仕組みをきちんと理解した上ではじめることをおすすめします。

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会社概要

会社名 株式会社IndieSquare
(IndieSquare Inc.)
設立 2015年08月
住所 東京都渋谷区渋谷2丁目2-17
代表者名 星野 裕太
メールアドレス info@indiesquare.me

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