世界中で注目が高まる「NFT(エヌエフティー)」。テレビやSNSなどで耳にする機会も増えてきました。ブロックチェーン技術を活用して社会に役立つサービスを提供したいという思いから、IndieSquareは2015年から活動しており、現在はNFT関連のサービス企画、開発を中心に行っています。
NFTの認知度や利用は一定の分野では高いものの、「NFTアートが高額で落札された」などのNFTに関するニュースを目にしたことはあるけれど、NFTが何なのか、何がスゴいのかよくわからないという方が多数であるのが現状です。
ブロックチェーン技術やNFTは、この先のテクノロジーの発展や、個が輝く世界の実現に向けて、必要不可欠な存在です。皆さんの生活にどう役立つのか理解していただけるよう、NFTについてわかりやすくご紹介します。
目 次
NFT : Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)とは?
ノンファンジブル(代替不可能) | ファンジブル(代替可能) |
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・手書きの原画 ・プロ野球選手の直筆サイン入りキャップ ・世界に一枚しかないトレーディングカード ・NFT化されたデジタルトレーディングカード ・NFT化されたゲームのアイテム | ・フリー素材のイラスト ・デジタルカメラで撮った写真 ・お金 ・市販品 ・仮想通貨 |
NFTとは、Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)の略称で、「代替不可能なトークン」という意味です。ファンジブルは「代替=他のもので代えること」、ノンは「不可能=できない」、ノンファンジブルは「唯一無二」ということです。トークンは、代用貨幣や取引所、引換券、しるし・象徴などのさまざまな意味を持っていますが、NFTに関する文脈においては、トークンはブロックチェーン技術を使用して発行された仮想通貨などのデジタル資産と考えるとわかりやすいです。つまりNFTは、ブロックチェーン技術を活用した規格のひとつで、唯一無二のデジタル資産ということになります。
あなたが大好なプロ野球選手に、野球チームのキャップにサインを入れて、くれました。これは、市販されている野球チームのキャップ=ファンジブル(代替可能)が、プロ野球選手がサインしたことでノンファンジブル(代替不可能)なキャップになったということです。これをデジタルの世界に置き換えてみましょう。大好きな野球選手のプレイ動画が限定販売されると知り、あなたは購入を検討しています。
しかし、これが本当にオリジナルの作品なのか、複製されたものなのか、判断がつきません。NFTの技術を使えば、この作品がオリジナルで偽造や複製されたものではないことを証明できるのです。
ここからは、NFTを説明するのに欠かすことのできないいくつかのキーワードについて説明していきます。
デジタル資産の代表である暗号資産(仮想通貨)とは?
NFTについて理解する上で、密接に関係しているのが、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)ですが、これらはデジタル資産の代表といえます。ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨は、インターネットで不特定多数と取引できる電子データの取引記録(ブロックチェーン)上に構築され、アプリケーションでやりとりされるデジタルデータです。
仮想通貨をわかりやすく例えるならば、ゲームの世界で敵を倒したりレベルを上げていくごとに得られるお金のようなものです。ゲームの世界では、敵と戦って得たお金で、装備品などアイテムを買うことができますね。ビットコインやイーサリアムは、ゲームの世界ではなく、現実世界で日常的に使うことを目的とした仮想通貨です。100円玉や1万円札、ドル・ユーロといった実際に手に取れるリアルなお金(法定通貨)ではなく、インターネットで不特定多数と取引できる電子データの通貨のことを仮想通貨=暗号資産と呼びます。
リアルなお金は、日本であれば日本銀行、アメリカであればFRB(連邦準備制度理事会)など各国の中央銀行で発行され国内で流通しコントロールされます。その影響で景気や金利の変動が起こります。
しかし仮想通貨は公的な発行主体や管理者が存在しません。国が管理しているわけではないため、専門の取引所が仲介に入ることで、世界中のどこの国でも利用・交換することができます(国によって受け入れ体制が異なる場合があります)。
したがって、仮想通貨の価値は法定通貨の価値と連動することがありません。例えば、円やドルの価格の変動が起こったとしても、仮想通貨の価格の変動には直接的に影響がないということです。
例を挙げると、AさんとBさんがそれぞれ、10万円分のビットコインを持っていたとします。Aさんが持っているビットコインと、Bさんが持っているビットコインを交換することができます。仮想通貨は、現金通貨と同様、二人の所有しているビットコインは同じ価値を持つので、ふたりのビットコインを入れ替えてもなんら問題がありません。仮想通貨は代替可能なデジタル資産、すなわちファンジブルトークンというわけです。
NFTや暗号資産に用いられているブロックチェーン技術とは?
暗号資産(仮想通貨)にもNFT(ノンファンジブル・トークン)にも使われている共通の技術がブロックチェーンです。ブロックチェーンを一言で説明すると、管理者が不存在の情報を記録する台帳です。
ネットワーク上でのデータ管理する仕組みとして、「分散型台帳」という技術があります。分散型台帳技術は、ユーザーがネットワーク上で同じ台帳を管理、共有することができる技術で、DLT(Distributed Ledger Technology)とも呼ばれます。分散型台帳は、誰が、いつ、何の情報を台帳に書き込んだか確認することができ、偽装や改ざんを行うことが非常に困難と言われています。これらを記録・保管して、複数のユーザー間で共有する技術として使用されています。この分散型台帳の技術領域の一つとして注目されているのがブロックチェーンです。
NFTもビットコインやイーサリアムなどの暗号資産のどちらも、ブロックチェーン技術が使われていますが、NFTはブロックチェーンの中に固有の識別サインが記録されています。例えば、デジタルアートやゲームで使用するアイテム、デジタルトレーディングカードなどにIDを付与したり、取引情報などを持たせることで、代替不可能な唯一無二のデジタル資産となり固有の価値が生まれるのです。自分で描いたデジタルアートをNFT化して販売できるプラットフォームなども次々と誕生しています。
これまでの中央集権型と分散型の違い
現在使用されている決済システムや取引システムについてみてみましょう。皆さんは全ての取引を銀行やカード会社など第三者機関を通して行います。第三者機関が巨大なコンピューターで全ての取引データを管理しています。これを中央集権型といいます。中央集権のデメリットとして、サーバ障害や通信障害が起こると、サービスが停止してしまいます。
一方で、分散型では、取引データはネット上に保管され、特定のサーバーに書き込まれることはありません。そして、すべてのユーザーが確認できる仕組みをとっているため、民主的なデータ管理技術といえるでしょう。
NFTの歴史と市場規模
NFTはさまざまな業界で注目され活用が検討されています。IT業界やコンテンツビジネスはもちろん、不動産、金融業界などのこれまでの常識が大きく変化することが予想できます。NFTが注目されるきっかけとなったブロックチェーンゲームについて知っておくと、NFTについて理解が深まりますよ。
2017年ブロックチェーンゲームがNFTの注目のきっかけに
NFTが注目される様になったきっかけとして知られているのは、2017年に誕生した「CryptoKitties(クリプトキティズ)」という猫を育成するゲームです。イーサリアムのブロックチェーン技術を利用して作成されています。たまごっちのような育成ゲームで、猫を交配させたり、仮想通貨で猫を売買したりすることができるシンプルな内容です。
イーサリアムは暗号資産の名称として知られていますが、分散型アプリ開発用の基盤技術の名称でもあり、ここでは後者の基盤技術を指しています。NFTの規格を用いたことで、生まれてくる猫は他の猫とは異なり、どれも唯一無二のキャラクターとなります。様々な種類の猫を集める楽しさから、このゲームはコレクターから大人気となり、成長をし続けた結果、世界的にもNFTゲームの先駆け的な存在になりました。
2021年、NFTアートが75億円で落札
実際に注目を集めるようになったのは2021年で、つい最近のことです。最も話題となったのは、デジタルアーティスト「Beeple」のNFTデジタルアートのコラージュが、オークションで6900万ドル(約75億円)で落札されたことです。約14年間に渡って描かれた5000枚の作品を1つにコラージュした作品ですが、比較的無名のアーティストによる作品が高い評価を得られ、世界的なアーティストとなったこと、また、アート業界にとっても革新的な出来事だったといえます。
ツイートがオークションで3億円超
その他にも、Twitter創業者のジャック・ドーシー氏が自身の過去のツイートをオークションに出し、それが291万ドル(日本円にして3億円以上)で落札された事例もあります。Twitterは誰でも自由に閲覧することが可能ですが、このときに販売されたツイートは、NFTによって唯一無二の存在であるということを担保されたもので、一種の作品ともいえるような状態でした。そのため、このような高額で落札されました。この競売収益に関しては、貧困世帯に現金を寄付する慈善団体(ギブダイレクトリー)に寄付されたことでも話題になりました。
スポーツ界でも活用が進むNFT
NBA Top Shotというサービスも大変人気です。NBA選手の試合でのプレーのハイライト動画をデジタルのトレーディングカードとして所有できるというサービスです。所有するだけでなく、コレクターはデジタルカードの購入や販売、取引をすることができます。
例えばレブロン・ジェームズが強烈なダンクシュートを決めたプレーは日本円にして約2270万円という高値で取引されました。ザイオン・ウィリアムソンの華麗なシュートブロックのハイライトも同じく約1090万円と高額な取引金額となっています。
NFT最大のマーケットプレイス「OpenSea」
NFTの売買を行うことができる最大のマーケットプレイスであるOpenSeaも2021年に急成長を遂げました。2021年8月には流通総額が実に3650億円に達したといいます。OpenSeaを利用すると、PCから誰でも簡単に無料でNFTを作ることができます。ただし、出品したり購入したりするためにはガス代(取引を行う際の手数料)がかかります。
このようにNFTはゲーム、アート、コレクションアイテム、ビジネスや証明書、ファッションといった多岐にわたるジャンルで活用されることとなり、世界的にも盛り上がっています。「この美術作品は世界に一つしかない1点ものであるということ」「このプレーのハイライト動画は偽物・海賊版でなく、自分のみが所有できる特別な動画であること」など、NFTが唯一無二のデジタルコンテンツであることを証明してくれるのです。
従来のデジタルコンテンツは、容易にコピーができてしまうため、原本と似た複製品が横行してしまったり、偽物ではないという証明が難しかったりという点が課題でした。しかしNFTはコンテンツが唯一無二の価値を持っていて、希少性が高いものだと証明することができます。加えてブロックチェーン上で保管されているため、破損や紛失の可能性が低くなります。NFTの活用は今後ますます広がっていくと考えられています。
NFTの市場規模は急拡大している
ブロックチェーンに関する調査やデータ分析を行うChainalysis社の発表によると、2021年には『269億ドル相当以上の暗号資産』をユーザーが送金しているというデータがあります。269億ドルというと、日本円で3兆円以上です。市場規模は急拡大しています。
特に注目したいのが『送金総額と平均取引量の両方が大幅に増加している』という点です。NFTが新規ユーザーを獲得して、資産価値を高めているだけでなく、クリエイターやコレクションなどの人気が高まり、需要が増えた結果、取引金額が高騰しました。
*引用元:【レポートプレビュー】2021年 NFT 市場について
知っておきたい!NFTの特徴
話題のNFTですが、唯一無二の資産であることの証明できる特性と、複製や改ざんができない、所有者が他の人に移っても追跡できるというブロックチェーンの特性を活用した新たなビジネスがたくさん立ち上がることが期待できます。NFTの特徴についてもう少し詳しくご説明します。
NFT活用のメリット
NFTは唯一無二の価値
NFTは「代替不可能なデジタル資産」とご紹介した通り、NFTは他には替えがきかない1点もののデジタルデータであることを証明することができます。ブロックチェーン上に取引情報が記録がされており、その取引記録はオープンになっているため、誰でも見ることが可能です。改ざんなどの不正はすぐに露呈してしまいますので、偽造されるリスクは低いと考えられます。仮に偽造されたとしても、NFTがなければ偽物だとわかるため、安全性は高いといえるでしょう。
また、NFTにより唯一無二の存在だと証明することができるため、アート作品やコレクションなどの希少性や価値が高まることにも繋がります。
どこでも安全に取引が可能
インターネット上のマーケットプレイスで取引を行うため、通信環境が整っていれば世界中どこからでも参加できます(国によって受け入れ体制が異なる場合があります)。国や自治体、企業などの組織を介さずに自由な取引ができるので、誰でも平等な関係性でやりとりができます。またNFTマーケットプレイス上で取引する場合、NFTでデジタルデータの価値が証明されているだけでなく、ブロックチェーン上に取引の記録がされるため所有者が明確になり、安心して取引ができます。
二次流通でもアーティスト・著者に手数料が入る
絵画や写真といった芸術作品をアーティストが作品を美術館やコレクターに販売する場合、アーティストに収益が発生します。しかし、作品を手に入れたコレクターがこの作品を転売した場合、所有権はコレクターに移動しているため、アーティストは作品を転売されても報酬が入りません。
しかしNFTにおいては、二次流通市場で売買されたとしても、アーティストがプログラムに登録しておけば、収益の一部を得ることが可能となっています。従来の転売とは異なり、転売され続けることによってアーティストにも還元される金額が増えていきます。この点はNFTアートが注目された理由の一つでもあります。
これは、アーティストだけでなくいわゆる作品やアーティストのファンにとってもよい機能です。ファンの心理として、作品をコレクトしたいという気持ちだけでなく、アーティストの応援のために購入したいと考える人は少なからずいます。
しかし、そういったファンにとって従来の転売はあまりいい印象がないものでしたが、NFTの二次流通市場においてはアーティストに手数料の一部が支払われるため、転売することで双方にメリットが発生するため、アーティストを応援することにつながります。
NFTは別のプラットフォームでも利用可能
現在、NFTには共通規格があるため、この規格に該当する場合はどのプラットフォームでも取引が可能です。仮に利用していたマーケットプレイスがサービスを停止したとしても、共通規格で定められている別のサービスに移行することができます。そのため、移行元のデジタルデータが利用できなくなるということを防ぐことができます。
NFTは誰でも作成できる
NFTは誰でも作成することができるため、参加するハードルが低いことも特徴です。例えば芸術作品であれば、必ずしもアーティストとして実績がなければ売れない・評価されないということではありません。
NFT活用のデメリット
物理的に所有することができない
NFTはデジタルデータのため、実物を手に取って鑑賞することはできません。とはいえ、実物を手にすることで作品の劣化や破損、紛失のリスクはなくなります。
法的整備が不十分
著作権問題や、所有者の権利においての法的整備はまだあいまいな部分が多いです。2017年から開始し、2021年に急成長を遂げた背景をみると、仕方のない部分もあるかもしれません。しかし、仮想とはいえお金のやりとりをする上では法的な規律が明確になっていないと不安は拭いきることができませんので、こちらは今後整備されることを期待しましょう。取引を行う際は、必ず提示されているルールを確認して、不利益を被らないように注意してください。
手数料の高騰化の可能性
NFT取引では、ガス代(取引を行う際の手数料)が発生します。手数料に関しては出品者が自由に設定をすることができます。そのため、需要が高まった場合は手数料も高騰化しやすい可能性があります。デジタルデータの価格がそこまで高くなくても、ガス代が高くついた、なんてことはあり得る話です。
価格変動のリスク
ここ1年でNFTの注目が一気に高まったことから、現在は取引価格が非常に高くなっています。しかし、今後のこのような価格高騰が続く保証はなく、価格変動が起きる可能性は大いにあります。高価格で購入したものが、価格が下落して損をしてしまう、というリスクもありますので、注意が必要です。
NFTはデータの信頼性が今後の鍵に
NFTのデータ管理のためにブロックチェーン技術が利用されています。従来のデジタルデータは一度インターネット上に発信されるとコピーや改ざんなどがしやすいため、資産価値を持たせることが難しいと考えられていました。
しかし、ブロックチェーン技術を用いることで、正確な取引の記録をすることができるようになりました。加えて所有者が明確になることで、デジタルコンテンツの資産価値の証明が実現できました。ブロックチェーン技術の普及により、NFTという新しい資産価値が評価されるようになり、ゲームやアートやコレクションなどがどんどんと話題となり、急成長を遂げることとなりました。
しかしながら、データの信頼性においては、まだ技術が確立されているとはいえず、これからデータの信頼性やセキュリティにおける課題が表面化することが予想できます。IndieSquareは、耐改ざん性、ゼロダウンタイムの特徴を持つブロックチェーン技術の提供していくことで社会に大きな価値をもたらしたいと考えています。
ブロックチェーンのメリット・デメリット
ブロックチェーンは元々仮想通貨のビットコインの根幹となるために作り出された技術ですが、ここまで注目されるようになった理由は他にもあります。
ブロックチェーンのメリット
ブロックチェーンの信用性と安全性の高さ
ブロックチェーン上の取引は、ネットワークの参加者全員が閲覧可能なため透明性が高く、データの改ざんなどの不正を防ぐことができます。過去の記録を削除することができないので、意図的に書き換えること自体が困難です。ビットコインやイーサリアムといった暗号資産の取引だけでなく、NFTにおいても採用されている最大の理由は、この信用性と安全性が担保されているという点に尽きます。
スマートコントラクトによる取引コストの削減
「スマートコントラクト」というプログラムを耳にしたことはありますか?スマートコントラクトとはあらかじめ設定された条件に沿って、ブロックチェーン上の取引を自動的に承認・実行することができるプログラムです。
取引に人が介在しないため、人為的なミスが起きないうえに、人件費のコストも削減できます。ルールに則って承認や実行が自動的にされるため、契約に時間もかかりません。このように、スマートコントラクトの存在により、ブロックチェーン技術の注目度は上がりました。
IndieSquareの開発するHAZAMAは、非チューリング完全な言語仕様を採用し、スマートコントラクトによる思わぬ不具合や、情報の流出、無駄な処理の発生を防ぎます。
NFTの活用事例
先ほど、NFTの火付け役となったゲームCryptoKitties、やBeepeのNFTアート、ジャック・ドーシー氏のツイートやNBA Top Shotなどの活用事例を紹介しましたが、その他にも注目すべき事例がたくさん存在します。今回は3つに絞ってご紹介します。
音楽×NFT
少し前までは、音楽を聴くにはCDを購入していましたが、現在は配信サービスやダウンロードが中心でCDが売れない時代といわれています。また感染防止の観点から、従来はアーティストの収入源の一つであったライブ活動が実施困難な状況にあります。
そこで新たなアーティストの活躍の場として、NFTが注目されています。NFTの性質上、これまで侵害されがちだった著作権や二次流通販売における問題の解決についても期待値が高まりますね。
2021年10月に実施された、日本最大級のデジタル・クリエイティブフェス「イノフェス」での小室哲哉氏のステージパフォーマンスがNFTマーケットプレイスの「.mura」とコラボした事例はとても話題となりました。小室氏はイベントだけでなく楽曲NFTをNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」にてオークション形式で販売をしたりと、積極的に自身の音楽活動にNFTを取り入れています。
電子印鑑×NFT
2021年8月、シヤチハタ株式会社が日本初のNFT印鑑をケンタウロスワークス、早稲田リーガルコモンズ法律事務所と共同開発することで合意したというニュースがありました。クラウドサインなどの電子押印サービスも普及し、テレワークの普及やペーパーレス化の浸透も相まって、印鑑による物理押印の必要性が問われています。
ブロックチェーン技術の上に成り立つNFTは改ざんなどの不正をすることが困難なデータのため、印影偽造の防止として期待ができます。印鑑の保有者だけでなく印影の情報、押印の履歴などがブロックチェーンに記録されるため、NFT印鑑を使った電子契約は従来の紙面の契約書以上に安全性が高まります。契約における信頼性の向上にも繋がり、ビジネスにおいても非常に有用な取り組みだと考えられます。
ファッション×NFT
今トレンドとなっている、メタバース。メタバースとは、メタ(meta)は、「超越した」という意味を持ち、バースは「ユニバース(universe/宇宙)」を組み合わせてできた造語です。インターネット上の仮想空間のことを指します。デジタルファッションはメタバース(仮想空間)上の洋服やバッグなどのファッションアイテムを購入し、コレクションしたりSNS上にアップしたりと、現実世界と同じように楽しむことができます。
実際に着用することではなく、コレクションとして集めることが目的のため、アイテムの希少性の高さや真作であるかどうかの信頼度の高さは、コレクターにとって重要なポイントです。
また、ハイブランドファッションの代表格、Louis Vuitton、GucciなどもNFTに参入しています。Louis Vuittonはブロックチェーン技術を活用したゲーム「LOUIS THE GAME」をリリースしました。マスコットキャラクターの「ヴィヴィエンヌ」として世界を冒険するというコンテンツですが、注目すべきはこのゲームにはNFTアート作品が含まれているという点です。ゲームをプレイするだけでなく、NFT作品を集めることが可能で、中にはNFT作品が約75億円で落札されて話題となたBeepleの作品も含まれています。
ブロックチェーンで実現する未来型組織「DAO(自律分散型組織)」
NFTの事例からは離れてしまいますが、話題のDAOについてもご紹介します。仮想通貨やメタバースなどと合わせて、耳にすることの多いDAO(ダオ)は、Decentralized Autonomous Organizationの略です。簡単にいうと、中央集権型に存在する管理者が不在で、参加者同士で管理する組織のことです。
一般的な株式会社では、上層部で意思決定がなされて、その結果が各組織にトップダウン方式で落とされます。一方で、DAOでは、参加者同士で意思決定をします。「ガバナンストークン」を保有していると意思決定に関わることができます。ブロックチェーンを活用した金融サービスとしてトレンドとなっているDeFi(分散型金融)も、DAOによって成立しています。DAOは、従来の働き方や常識が180度変わる画期的な仕組みと言えます。
NFTの課題と未来
世界各国でNFTの参入企業は急増しており、日本も例外ではありません。メルカリやLINEの子会社であるLVCなど、多くの企業が参画しています。それだけ、ビジネスにおいてのNFTへの期待値は高いということになります。しかし一方で、NFTは急成長したためいくつかの課題が残ります。現在抱えているNFTの課題を踏まえて、これからの未来について触れていきましょう。
NFTの課題
法律とのかかわり方
NFTのデメリットとして、先ほども紹介した通り、NFTは法律面での整備ができておらず、これから整えていく必要があります。著作権においては著作権侵害の線引きがあいまいであるため、著作権を侵害しているNFTが販売される可能性は少なからずあります。
他人が著作権を所有しているコンテンツを、第三者が無断でNFT化して取引するという不正が起こる可能性もゼロではありません。知らぬ間に著作権を侵害しているNFTを購入してしまう、ということがないよう注意が必要です。
また、法規制において特に危険視されているのは、賭博法とのかかわりです。NFTゲームはゲーム内での取引(ガチャでゲームキャラクターを購入、課金することでキャラクターを強化できるなど)が賭博法に触れる可能性があるのではないかという意見はたびたび取り上げられています。これまでのゲームでの課金は、ゲーム内で完結した取引でしたが、NFTゲームの場合、ゲーム外のプラットフォームにて売買が可能なことが賭博法に接触するのでは?と考えられています。
マネーロンダリングの危険性
マネーロンダリングとは、不正に仕入れたお金を正当な取引で入手したかのように偽る行為(資金洗浄)のことです。ビットコインやイーサリアムといった暗号資産において、マネーロンダリングの疑いがかかった事例も過去にはあります。NFTは非代替性が大きな特徴であり、ブロックチェーンに取引記録が全て残りますので可能性としては低いですが、ないとは言い切れません。
価値の変動
NFTは取引者間で価格が決定されるため、価値が保証されていません。現在はNFTの注目度が高く、高額取引も多数行われていますが、いつまでこのような取引価格が継続するかはわかりません。そのため、仮にNFT市場が停滞して取引金額が暴落するということが起こった場合、所有者は損失を被る可能性があります。
NFTの未来
NFTはビジネスにおいても、アートや音楽やスポーツなどの多岐にわたる分野においても、今後も成長していく可能性は高いといえます。世界的企業も多数NFTマーケットに参入しているため発展性が高いのではないかと期待が持てますね。
また「価値のインターネット」の時代において有用といえる「非代替性」という性質を持っていることも成長が期待できる要素です。次の時代は、手に取って触ること、実際に所有することだけに価値を見出すのではなくデジタルコンテンツ、メタバースといった非現実の世界においての価値も非常に注目されています。NFTは信頼性が高く、価値の証明が可能なため、今後ますます注目が高まっていくことが予想できます。
多くの人が安心してNFTを利用できるようにするためには、やはり法律に則ったルールの明確化が最優先課題といえます。発展途上のため課題もあるものの、新たなサービスや技術の発展により、我々の生活をより豊かにしてくれるものに進化していくことでしょう。
ブロックチェーンで国内だけでなく世界と繋がれる時代が来ました。IndieSquareが提供する特許取得済みの次世代ブロックチェーン技術「HAZAMA」を活用したNFTプラットフォームを活用いただくことで、個人が思い思いに新たな経済圏を創出することができます。トークンエコノミーで個人が輝く世の中を目指して、テクノロジーを極限まで使いやすくし提供しています。