新たな組織の概念「DAO」を知る

DAOは、新しい組織の形として注目を集めています。従来型の組織では、上下関係や役割などが決まっていることによって、自由度が低く窮屈な印象があります。一方のDAOは、中央集権的存在に支配されない組織です。参加者全員が平等であり、意思決定は投票によって行われます。

コロナ禍の影響でネット依存が加速していることもあり注目が高まっている、誰でも参加可能な次世代型の新組織とも言えるDAOについて解説します。

DAOとは

DAO(Decentralized Autonomous Oranization)とは直訳すると、自律分散型組織のことでダオと読みます。DAOを簡単に説明すると、「暗号資産投資家の集まり」です。暗号資産ウォレットを持ったオンラインコミュニティで、資金を集めて共同で管理をし、その資産を使ってプロジェクトへの共同出資やNFT収集などを行うことを目的とした集団です。

DAOには、管理者の存在や企業などの参入はありません。一般的な組織やコミュニティには、管理者や組織のトップが存在しますが、DAOはメンバー全員が同じ立場にあり上下関係はありません。ネットワークに参加するメンバー全員が同等の立場にあります。

DAOの管理者はDAOトークンを持っている参加者全員ということになり、誰でも参加することができます。

DAOの特徴

自律分散型組織といわれても、意味がよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。そこで、DAOの特徴を3つ紹介します。

 リーダーがいない

DAOには、リーダーや管理者がいません。株式会社に例えると社長がいないということになります。ルールや方針については、参加者全員が平等な立場で意見を出し合いプロジェクトを進めて行くという特徴があります。権力のある個人に強制されることはありません。組織にリーダーがいないと、まとまらないのではないか?ルールが徹底されないのではないか?という懸念があります。DAOでは決定権が参加者全員にあるため、多数決で決めます。過半数の人が賛成した場合に意見が通るというルールです。たった一人の意見であれば、全く通らないということになります。

DAOは、スマートコントラクトのあるブロックチェーンを活用しています。そのため、リーダーがいなくても人間のようにルールを破ったり勝手にルール変更をしたりということが起こらないのです。

誰でも参加することができる

DAOは、年齢、性別、国籍などの制限がなく世界中の誰もが参加することができます。入会金の必要もなく、入会するための条件もありません。

例えば、最も有名な暗号資産(仮想通貨)の一つであるビットコインもDAOです。ブロックチェーン上のプログラムで動いているため、通貨の発行量の操作や取り決めを行っている管理者は存在していません。また、取引の承認はマイニングを行っている参加者なので、運営を行っているのも参加者です。マイニングは、誰でも参加することが可能です。ビットコインを購入することでも参加者になることができます。

透明性が高い

DAOのルールはブロックチェーンで実行されています。ブロックチェーンはプログラムの内容が公開されているため、いつでもチェックすることが可能です。組織のルールが外部からでもチェックすることができるという点は、大きな特徴の一つであるといえます。

DAOに不可欠なブロックチェーンとは?

DAOを成立させるためには、ブロックチェーンの存在が不可欠です。ブロックチェーンとは何か?ブロックチェーンの特徴について解説します。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは、複数の端末を使ってデータの取引内容を共有する技術のことです。一つの端末のみでデータを所有していると、改ざんの危険性があります。しかし、複数の端末で同じデータを管理すると、改ざんするためにはその全てのデータを変えなければなりません。複数の端末で管理することによって、整合性を保つことができるというわけです。

ブロックチェーンの名前の由来

ブロックチェーンは、取引の履歴を暗号技術を使って1本の鎖のようにつなげて記録していくことから「ブロックチェーン」と名づけられました。取引の記録は一つの塊であるブロックで構成されています。そのブロックをチェーンのように連結させて繋げていきます。最初にブロックチェーンを活用したのが、暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン」です。

ブロックチェーンの特徴

改ざんされにくい

ブロックチェーンは、複数の端末を使ってデータの取引内容を共有しています。そのため、改ざんするためには共有されている複数の端末の情報を書き換える必要があります。次の更新までの間に書き換えることは、難しいでしょう。

また、ブロックチェーンには二つの暗号技術が使われているため、セキュリティ面が強固となっています。

これらの理由から、ブロックチェーンの改ざんはほぼ不可能と言えるでしょう。

システムダウンの影響を受けにくい

何らかの理由でシステムダウンやデータ破損などのトラブルが発生しても、過半数の人のブロックチェーンのデータが正常であれば、システム全体への影響はありません。破損したデータは、次のデータ更新の際に正しい情報に書き戻されます。安全性の高いシステムと言えます。

ブロックチェーンのデメリット

処理に時間がかかるというデメリットがあります。過去から現在までの全てのデータが繋がっているため、データが大きいほどより時間がかかります。

また、改ざんが難しいだけでなく、データの消去をすることもできません。一度ブロックチェーンによって保管された記録を消すためには、全ての端末のデータを消さなければならないため、ほぼ不可能といえます。柔軟な対応が難しいことはデメリットの一つと言えるでしょう。

DAOのメリット・デメリット

では、新しい組織の形として注目されているDAOには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

DAOのメリット

参加者が公平

一般的な企業には、トップがいます。トップに決定権があり上司からの指示や命令によって社員が動くという形が一般的ですが、DAOにはトップは存在しません。参加者全員が平等であるため、公平な扱いとなります。

特定の誰かに決定権がない場合、どのようにして物事の判断を行うかというと、投票です。ガバナンストークンを保有する人に投票権が与えられ、意思決定に参加することができます。

ガバナンストークンとは、DAOで使用される暗号資産のことです。株式会社に例えると株式のようなものです。ガバナンストークンを取得する方法はプロジェクトによって異なりますが、暗号資産を預け入れた報酬として受け取る方法が一般的です。他にも無料配布やガバナンストークン保有者と暗号資産で取引する方法もあります。

参加がスムーズにできる

DAOは、スマートコントラクトによって実行されるため、人力による細かい手続きが不要です。スマートコントラクトとは、あらかじめ設定されたルールに従い、ブロックチェーン上の取引や情報が実行されるプログラムのことです。ブロックチェーン技術によって自動的に契約を実行してくれるという特徴があります。一般的な企業では、契約締結までに契約書を作成し担当者、責任者、代表者が押印し多くの部署の大勢の人が関わるという手間がありますが、DAOでは一切必要がありません。プロジェクトの参加者は上司が決めるのではなく、希望者が自ら参加するのです。

透明性が高い

一般的な会社や組織では、会社や組織の内情を外部の人が知ることはできません。社内の人間でさえも知り得ないことが数多く存在しています。DAOは、ソースコードで管理されているため、参加者はもちろんですが外部の人でも組織のルールを知ることが可能です。

リターンが期待できる

投票権を得るために必要なガバナンストークンの価値が上昇することがあります。プロジェクトが認められるとトークンの価格が上昇する可能性があり、保有者はリターンを期待することができます。

DAOのデメリット

結論を出すのに時間がかかる

DAOの特徴として、決定権がすべての参加者にあることがあげられます。参加者に平等に権利があり投票にて行うため、結論が出るまでに時間がかかるというデメリットがあります。

社長による鶴の一声で決まるわけではなく、スピード感に欠けるということは、迅速な対応が必要であった場合ネックとなります。

また、多数決によって決定された結果が必ずしも正しいとは限りません。誰もが参加可能であるため、どんな人が参加してくるのか予測することができません。また、意見が割れてしまった場合にプロジェクトが進まなくなる可能性も否めません。

法の整備が追い付いていない

DAOは新しい組織の形であるため、法整備が不十分です。法律上、法人に分類されるのか個人扱いとなるのか定まっていません。また、DAOの利益はどのように課税されるかについても決まっていない状態です。

法整備が追い付いていないということは、何らかのトラブルが発生した場合の補償に関しても不明です。

個人が独自のガバナンストークンを発行し譲渡することは問題ありませんが、販売すると違法になるため注意が必要です。

セキュリティ面の不安

DAOは、ブロックチェーン上で行われているため安全性が高いというメリットはありますが、ハッキングのリスクがゼロということではありません。取引所がサイバー攻撃を受けてしまうと、換金不可能となり投資資金が無駄になることも考えられます。

実際に2016年に発足した投資系のDAOプロジェクトが、ハッキングによって364EHTが盗まれるという事件が発生しました。責任の所在がないという点もデメリットの一つです。

DAOの取り組み事例

ビットコイン

ビットコインは、世界で最初に作られた仮想通貨と言われています。インターネット上でやり取りをするため、世界中のどこにでも送受信することができます。組織のトップの存在はなく、マイナーと呼ばれる情報整理をした人に報酬としてビットコインが支払われます。ブロックチェーン上にマイニングの仕組みがプログラムされており、自律的に行われています。

PleasrDAO

DAOには、さまざまな目的や用途がありますが、PleasrDAOはNFTを収集していることで有名なDAOです。

エドワード・スノーデン氏がファウンデーションというNFTマーケットプレイスで販売したスノーデンNFTの購入をしたことで有名です。落札額は約5,980万円であったこと、落札者が個人ではなくDAOであったことで話題となりました。さらに、自らのNFTアートの制作販売を行い、活動の幅を広げています。PleasrDAOは、将来的にDAOで蓄えた資金を生かして投資を行っていくとしています。

DAOに参加する方法

組織が発行しているガバナンストークンを購入することで、DAOに参加することができます。

ビットコインやイーサリアムなど、何らかの暗号資産を所有している人はDAOに参加している可能性があります。

自分でDAOを運営したい場合には、

・ガバナンストークン

・コミュニティ

・投票メカニズム

・資金管理、投票、提案システム

以上の4つが必要です。

上記の技術提供をしてくれるサービスを利用するとよいでしょう。

まとめ

新しい組織の形DAOを紹介しました。中央集権的存在に支配されない、参加者が平等に仕事を行い、平等に報酬を受け取ることができる、一般的な会社や組織とは異なる仕組みで成り立っているのがDAOです。社長や組織の代表となる人も存在せず、投票によって物事の判断がされます。参加者がみな平等であることや透明性が高いというメリットがある一方、法の整備が追い付いていないためトラブルが発生した場合の保障に不安がある点や、セキュリティ面に関しての不安もあげられます。

様々な見方ができるDAOですが、大きな可能性を秘めており、今後ますます注目が高まっていくと思われます。これを機にDAOへ目を向けてみると面白いかもしれません。

ガイド

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会社概要

会社名 株式会社IndieSquare
(IndieSquare Inc.)
設立 2015年08月
住所 東京都渋谷区渋谷2丁目2-17
代表者名 星野 裕太
メールアドレス info@indiesquare.me

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