NFTに興味を持っている人は、大きく分けて3パターンに分けられます。自分の作品を出品するか、他者の作品を購入するか、投資のために活用するかのいずれかです。NFTをこれから始めてみようと考えている方に向けて、今回は自分の作品を作り、NFT化して出品する方法をご紹介します。
始める方法や注意点などをご説明していきますので、安全にNFTを楽しめるよう、ぜひ事前にご確認ください。
NFTの作り方・始め方
NFTのマーケットプレイスで自ら制作したオリジナルコンテンツを出品する手順は大きく分けて以下の4つです。
①オリジナルのデジタルコンテンツを用意する
②仮想通貨(暗号資産)の口座・ウォレットの作成
③マーケットプレイスにログイン
④デジタルコンテンツをアップロードして出品
自分で作品を作って出品するとなるといささかハードルが高く感じるかもしれませんが、手順さえわかれば難しいことはありません。以下に詳細を解説していきます。
ちなみに、手順②の仮想通貨(暗号資産)の口座・ウォレットの作成は購入時と同じ手順になりますので、どちらをするにしても参考にしていただけます。
①オリジナルのデジタルコンテンツを用意する
デジタルコンテンツとはテキスト、画像、映像、音楽などをデジタルデータ化してWEB上に公開したり、サービスとして提供しているものです。身近なところですと、スマートフォンやPCゲーム、音楽データや音楽ストリーミングサービス、イラストや写真などの画像、漫画や書籍の電子版、動画配信サービスなどがイメージしやすいでしょう。
種類 | テキスト | 画像・映像 | 音楽 | ゲーム |
例 | ブログ、ホームページ、電子書籍、メルマガ | 写真、イラスト | 音楽データ、ストリーミングサービス | ハード機用ゲームデータ、スマートフォン・PCゲーム |
これらのデジタルコンテンツはWEB上のデータであるため、アナログコンテンツと違い現物に直に触れることはできません。しかしデータなので劣化なく保存することができたり、デバイスやネット環境が整って入ればいつでもどこでも楽しむことができるという長所があります。インターネットが普及してから、このようなデジタルコンテンツの市場は拡大し続けており、デジタルコンテンツの成長とともにNFTの成長も見込まれると期待されています。
特にNFTでは写真・イラスト・動画・音楽・ゲームなどの分野が非常に人気で、初心者からプロのミュージシャンまで参加しています。そしてこれらのデジタルコンテンツを用意する方法は自作するか外注するかの2つです。制作の方法は選択するコンテンツによって異なりますが、最近はスマートフォンやPCで簡単に制作可能なアプリケーションやソフトが充実しているため、自分の目的と興味のあるものをもとに好きなものを選択してください。コンテンツの制作ができたら、次の手順は出品準備のための事務的な手続きになります。
②仮想通貨(暗号資産)取引所の口座・ウォレットの作成
NFT売買の際には仮想通貨(暗号資産)が法定通貨の代わりにやり取りされます。NFT取引はイーサリアムブロックチェーン上で行われるため、取引ではイーサリアムが多く使用されます。今後使用される通貨が変わることがあるかもしれませんが、現時点では「イーサリアムが主なNFT取引の通貨のため、用意する必要がある」ということを覚えておいてください。
そして上記のようにNFT取引が可能となる市場プラットフォームのことをNFTマーケットプレイスといいます。NFT化されたデジタルコンテンツを売買できるオークションやフリーマーケットだと思っていただくとイメージしやすいかもしれません。では取引に必要なこの仮想通貨取引所の口座開設の方法を確認していきましょう。
仮想通貨取引所を選ぶ
現在、数千を超える仮想通貨取引所(マーケットプレイス)が存在しているため、自分がどの取引所で口座開設するべきなのかを迷う人は多いのではないでしょうか。そんな方のためにいくつかの仮想通貨取引所をピックアップしましたので、ぜひ選ぶ際の参考にしてみてください。
特徴 | URL | |
Open Sea | ・世界最大級のNFTマーケットプレイス ・取り扱いコンテンツはアート、ゲーム、トレーディングカード、音楽など幅広い ・こだわりがない場合はこちらがおすすめ ・海外のマーケットプレイス | https://opensea.io/ |
SuperRare | ・日本語には未対応 ・2018年からサービス開始している古参のNFTマーケットプレイス ・取り扱いコンテンツはアートなど ・海外のマーケットプレイス | https://superrare.com/ |
Rarible | ・取り扱いコンテンツはアート、ゲーム、音楽、写真など幅広い ・英語圏で利用されるマーケットプレイスだが一部日本語対応もしているため使いやすい ・海外のマーケットプレイス | https://rarible.com/ |
Coincheck NFT (β版) | ・Coincheckが運営するマーケットプレイス ・取り扱いコンテンツはゲーム、トレーディングカードなど ・ガス代(取引にかかる手数料)が無料 ・取引可能な仮想通貨数が多い ・日本のマーケットプレイス | https://bitcoin.dmm.com/ |
AdambyGMO | ・NFTコンテンツの流通を目的とした取引所 ・日本円での決済が可能 ・仮想通貨初心者でも気軽に利用することができる ・取り扱いコンテンツはデジタルアートなど ・日本のマーケットプレイス | https://adam.jp/ |
NFT Studio | ・日本円(クレジットカード)決済に対応しているためMeta Maskがなくても購入することができる ・取り扱いコンテンツはアートなど ・SNSからもログイン可能なため初心者でも始めやすい ・日本のマーケットプレイス | https://nft-studio.com/ |
取引数の多さでいうと世界最大級のNFTマーケットプレイスがNo.1ですが、日本のマーケットプレイスの方が仮想通貨についてあまり知識がない初心者でも始めやすいです。自分がどのようなデジタルコンテンツを出品したいのか、どんな環境で取引を行いたいかを考えたうえで、取引所を選択してください。取引所を選ぶポイントは、信頼できるマーケットプレイスかどうか、手数料の高さ、マーケットプレイスで希望に合ったコンテンツが取り扱われているかですので、これらも含めて考えていただくと良いです。
口座の開設
仮想通貨取引所を選択したら、続いて口座を開設していきます。どの口座を開設しても最初の操作はほとんど同じなので、今回はCoincheck NFT(β版)を例にとって開設していきます。
口座開設の流れは以下の通りです。
1.メールアドレス・パスワードの登録
2.設定したメールアドレス宛に届いたメール本文に記載されたURLからログイン
3.電話番号などの個人情報登録
4.各種重要事項の承諾と本人確認書類の提出
口座の開設ができたら作成した口座に日本円を入金します。銀行振込・コンビニ入金・クイック入金(パソコン・スマートフォン・ATMから入金できるサービス)の3つの方法のいずれかで入金できます。
入金が完了したら仮想通貨を購入します。前述したようにNFT取引においてはイーサリアムが基本的に使用される通貨となるので、イーサリアムを購入しておきましょう。
ウォレットの作成
続いて購入したイーサリアムなどの仮想通貨を管理するウォレットの作成をします。Coincheck NFT(β版)のマイページからMeta Maskをインストールします。NFTの入庫・出庫に必要なので必ずウォレットの作成はしましょう。
Meta Maskのインストールが完了したら、「Meta Maskに接続」と表示されます。その表示をクリックして連携を進めてください。連携が完了したらMeta Maskのアドレスが表示されます。ウォレットの作成が完了したら、購入したイーサリアムをMeta Maskに送金して、購入準備は完了です。
③④マーケットプレイスにログインして出品
自分が利用するNFTプラットフォームを決めたら、まずはその公式サイトにアクセス・ログインします。そこから出品するのですが、操作はマーケットプレイスごとに異なるので、利用者の多いOpen Seaの操作方法をご紹介します。
<Open Seaでの出品方法>
1.公式サイトにログイン
Open Sea公式サイトにアクセスし、トップページの画面中央の「Create(日本語だと「作成」)」ボタンか、画面右上の「Create」をクリックします。
2.作品のアップロード
そうすると「Create new item」というページに移動するので、作品のアップロードと情報を入力します。必要項目を入力して「Create」をクリックすることでデジタルデータのNFT化が完了します。
3.出品する作品の選択
保有しているNFTの中から出品したい作品を選び、「売る」ボタンをクリックします。
4.出品価格などの条件を設定
販売方法は「Set Price:固定の価格で販売する」と「Highest Bid:期間限定でオークション販売する」、「Bundle:まとめて販売する」の3種類です。好きなものを選択することができますが、初心者の場合はSet Priceの方が始めやすいかもしれません。Priceで販売する仮想通貨の価格を入力します。Highest Bidの場合には「Minimum Bid:始値」、「Reserve price:最低価格」、「Expiration Date:オークションの期間」を入力する必要があります。
5.手続き完了
全て入力後、「Post your listing」をクリックすれば、出品の手続きは完了です。NFTマーケットプレイスによっては2次流通の際にクリエイターに報酬が入るように設定することができるものもありますので、必要に応じて設定することを忘れないようにしてください。ここまででデジタルコンテンツの作成から出品方法までを確認することができましたね。
知りたい!これってどういう意味?
基本的な出品方法を押さえることができましたが、他にもNFTについて調べると馴染みのない単語を目にした方も多いのではないでしょうか?ここでは疑問を感じそうな単語をまとめたので、ぜひあわせてご確認ください。
Mintとは
Mintとは「NFTを新たに発行・作成する」ことを指します。「鋳造する(Minting)」という英単語が由来になっています。作成したデジタルコンテンツをアップロードすることで、ブロックチェーン上にその取引記録を書き込むことができます(このことをオンチェーンともいいます)。オンチェーンすること、要するにこれまでご紹介したデジタルコンテンツの制作~NFT化するまでの流れのことをMintと呼びます。ちなみにこのMintは使用しているプラットフォームによってタイミングが異なります。Mint自体はOpen Seaなどでは手数料はかからないものの、出品や購入の際にはガス代がかかるので、注意してください。
どんなものが売れる?
結論からお伝えすると、デジタルコンテンツであればなんでもNFT化して販売することは可能です。例えば写真・イラスト・VR・動画・音楽・ゲームなど、特に制限はありません。しかし、プラットフォームごとに販売しているコンテンツが分かれているため、そこは事前にご確認ください。
実際に高額で取引されたものとして、以下の作品は非常に有名です。
・デジタルアーティスト「Beeple」のNFTデジタルアートのコラージュ:
オークションで6900万ドル(約75億円)で落札。約14年間に渡って描かれた5000枚の作品を1つにコラージュした作品。
・Twitter創業者のジャック・ドーシー氏のツイート:
自身の過去のツイートがオークションで291万ドル(日本円にして3億円以上)で落札。
・NBA Top Shotというトレーディングカード:
NBA選手の試合でのプレーのハイライト動画をデジタルのトレーディングカードとして所有できるサービス。所有だけでなく、カードの購入や販売、取引も可能。レブロン・ジェームズのダンクシュートを決めたプレーは日本円にして約2270万円という高値で取引。
ガス代とは?
イーサリアムブロックチェーンを利用するときにかかる手数料のことです。Open Seaでは初回販売時のみこのガス代が発生します。
注意点
最後にNFTを始める際の注意点をご紹介します。確認しておけばよかったと後悔しないように、きちんと最初に押さえておきましょう。
法的整備の不十分さ
著作権問題や、所有者の権利においての法的整備はまだあいまいな部分が多いです。取引を行う際は、必ず提示されているルールを確認して、不利益を被らないように注意してください。
手数料の高騰化の可能性
NFT取引では、ガス代(取引を行う際の手数料)が発生します。このガス代は時期によって変動しますが、このガス代の高騰はしばしば問題として取り上げられます。
価格変動のリスク
ここ1年でNFTの注目が一気に高まったことから、現在は取引価格が非常に高くなっています。しかし、今後のこのような価格高騰が続く保証はなく、価格変動が起きる可能性は大いにあります。NFTで継続的な収益化を望む場合、どのような作品が売り手にとって需要があるのかを考える必要もあります。